足かけ10年にわたる土地拡張ものがたり。「みんなのしあわせ」を目指して、粘り強く。

S様/群馬県太田市

駐車場の面積が売上に直結するコンビニにおける、敷地拡張のお手伝いをさせていただきました。
立ち退きにつきまとう「ちょっと怖い人が出てくるような良くないイメージ」を一掃したいと語る杉田が挑んだ
交渉術と、地主様の協力もあって実現した解決策とは?

「絶対に動きたくない」住人に対して……

S様:いちばん初めにセブン-イレブンさんから「店舗の敷地を広げたい」と相談を受けたのは、2012年の3月のことでした。
まだ杉田さんのお父さんが社長をやられていた頃ですね。

杉田:そうですね。私たちはもともとセブン-イレブン様よりご依頼を受ける案件を数多く担当してきました。
地方にあるセブン-イレブンは、駐車場の数が集客に大きく影響します。
そこで敷地が狭い店舗は、近くに別の土地を借りてそこに移転することで面積を拡大するケースが多いのですが、
該当の店舗は街の中心部に位置しているので、代わりとなる移転先がなく、今ある場所を広げていくしかなかったんですね。

S様:そうそう。前の駐車場は8〜9台しか停められない広さでした。
この地域はみんな車で移動するので、それだとすぐいっぱいになってしまいます。
その頃は「わざわざ来たのに車が停められなくて買い物ができなかった!」といった苦情がお店にたくさん寄せられていたようですよ。

杉田:特にあの辺りは他のコンビニもなければ、スーパーもないエリアです。
だからセブン-イレブン様としても、なるだけ早急な敷地拡大を希望されており、そこで我々に声がかかりました。

S様:私が店舗の横の土地を所有しているのですが、当時そこには2家族が住んでいました。
この2家族がともに交渉が難しい状態だったんです。というのも、そこを貸したのは昭和17年。
戦争中の話だし、とうぜん私は生まれていません。しかも当時の慣例として口約束だけで貸しているので、契約書もない状態です。
1家族目のAさんは、杉田さんのお父さんが交渉を担当してくれたんですが、なかなか話に応じてもらえませんでした。

杉田:はい。だから実際は交渉が一度頓挫していて、セブン-イレブン様もあきらめていた時期もあると思います。

S様:結局、弁護士さんにも相談しながら少しずつ交渉を進めて、2018年の11月にAさんの家の解体が完了します。
そして2019年の1月から、もうひとつのご家族、Bさんへの交渉がスタートしました。
それを担当してくれたのがすでにお父さんの跡を継いでいた杉田さんでしたね。

杉田:はい。状況を簡単に説明すると、B様宅には、高齢の奥様が住んでらっしゃいまして、膝を悪くされていました。
それもあってすぐ隣にセブン-イレブンがある現在の環境がとても便利だし、友達もみんな近くに住んでいるから、
絶対に動きたくないとおっしゃられていたんですね。
また私の父からも過去にうまくいかなかった土地であることも聞いていて、なかなか難しいだろうとは思っていました。

S様:あの時、どういったカタチで交渉を進めて行くのがいいかを杉田さんと相談したんだよね。

杉田:そうですね。やはり少し前の時代までは「立ち退き」っていうと、ちょっと怖い人が出てくるようなあまり良くないイメージがありました。
そういった人が介在することで、結果的に住んでいた人も嫌な思いをしながら退かされる、みたいな印象を持っている方もいるかもしれません。
私は関わる人みんながしあわせになる結果をつくりたいと思っていました。

あくまで住む人の意向を尊重した解決策を。

杉田:B様への交渉において重要となったのは、やはりいかに奥様に納得していただけるかということだったと思います。
というのも、ご同居されていた旦那様や息子様は、こちらが提示する条件に対して前向きに考えてくれていたんです。
その一方で、奥様にはいっさい口を開いていただけません。
お家にお伺いしてお話をしていても、奥様は前向きではないご様子で、私としても非常に辛い状況でしたね。

S様:その奥さんは、そことは別の場所に自分の土地と家を持っている方なんですよね。
その上で地代を払いながらそこに住み続けているくらいだから、相当あの環境を気に入っていたんだと思います。

杉田:先ほども言った通り、お友達がみんな近くに住んでいること、そしてセブン-イレブンがすぐ横にあることがポイントだったようです。
実は少し離れた場所に、弊社が所有する家と土地があって、そこを移転先として提案したこともありました。でも内覧に来たのは旦那様と息子様だけ。
お二人にはその家も気に入ってもらったのですが、持ち帰って返答を待つと、やはり奥様は首を縦に振ってはくれません。

S様:そんな硬直状態に少し変化があったのが、交渉を始めて半年ほど経った2019年の7月でしたね。

杉田:そうです。やはり奥様がどうしても動きたくないとおっしゃられているので、
それであれば今と変わらない環境で住めるようにするしかないという判断に至ります。
でも周りに土地は空いていません。そこでS様にお願いをして、セブン-イレブンの横にお持ちの土地の一部を譲っていただき、
その場所にB様がご自身で新しく家を建てるという提案に至りました。
結果的にはその案が通り、今はもともとS様がお持ちだった土地の一部にB様が住まれています。
本来そこは別で貸すことで運用されるはずの土地だったのに、S様が譲ってくださったからこそ実現した解決策です。

S様:ただその方法で話がうまく進みかけたんだけど、また止まっちゃったんだよね。

杉田:はい。7月にその提案をして前向きに進みだしたのですが、そこから再度B様が音信不通になってしまって……。
行っても会っていただけないし、電話をしても出てくれない。またしても交渉ができない状況になってしまいました。

S様:そこから4ヶ月ほどストップしてしまって。

杉田:そんな中で2019年の11月に、別の要件でB様よりお電話をいただきます。B様は以前、ご自宅の1階で飲食店を経営されていました。
その店舗だった部分の地下を通る水道管が破裂したらしく「良い水道業者を知りませんか?」という連絡だったんです。
おそらく冬場だったので、水道管が凍結したのかもしれません。
それに関しては、私たちとお付き合いのある業者様を紹介したことで、いったん解決しました。
ただおそらくその事があって、このままこの古い家を持っていても、ずっとこういったメンテナンスをしないといけないし、
そのたびにお金がかかるということを痛感して、そうであれば思い切って新しい家に住むのもいいのでは、という思いが生まれたのかもしれません。
結果的には交渉を再スタートさせることができました。

S様:そこから話が進んで、Bさんは新しい土地に家を建てることとなり、引っ越しされたのが2020年の11月18日。
11月20日には住んでいた家の解体が始まり、2021年の2月末日に新しいセブン-イレブンが拡張オープンしました。

辿り着いた「みんながしあわせ」な結末。

杉田:改めてB様の立ち退きはなかなか難しい案件でした。
奥様のご理解をいただくために、20回ちかく打ち合わせや訪問をしています。
しかし「お友達が近くに住んでいるこの場所に住み続けたい」という気持ちは誰も否定できません。
一方でS様のことを考えると、できるだけ早く進めるべきですし、
セブン-イレブン様からも何度か「あそこの土地、その後どうですか?」とご連絡がありました。
それに応えたい気持ちはありつつも、B様に対して「あの件ですが……」とあまり強く出てしまうと、煙たがられて嫌われてしまいます。

S様:そうですよね。実はBさんの旦那さんとは、お仕事の関係で何度かお会いしています。
引っ越しが済んだ後、ポロッと「この度は本当にありがとうございました」って頭を下げてくださいましたよ。
奥さんも「この歳になって新しい家に住めるとは思っていなかった」と喜んでいるようで、そのことも伝えてくれました。

杉田:私も旦那様のお仕事柄、何度か顔を合わすタイミングがあって。
だから交渉が行き詰まって連絡がとれない時には「あの件、どうなっていますか?」なんて声をかけることもありました。
「B様、すこしお話をさせてください!」なんて(笑)。その時は旦那様は少し気まずそうにしていましたけどね。
でも最終的に奥様も含めて喜んでいただけているのであれば、本当に良かったと感じています。そしてB様の新しい家は平屋なんです。
玄関にはスロープもつけていますし、ずいぶんと移動が楽になったんじゃないですかね。もちろんセブン-イレブンも近いままですし。

S様:そうそう。前の家では、1階が元店舗で居住空間は2階だったんだよね。
だから奥さんは狭くて急な階段の登り降りがすごく大変だったと思います。
僕たちが家に行くと、足を引きずりながら奥さんが降りてくるわけですよ。その姿を見ていると心配で心配で。

杉田:そうでしたね。それが改善されたのも嬉しいです。
また前の家はS様より土地を借りている状態だったので、当然B様は地代を払っていました。
これからは自分の土地になったので、それだけでも大きな変化だと思います。

S様:杉田さんはすごく難しい交渉を粘り強くやってくれました。私は気が短くて、こういう話し合いは苦手だから(笑)。とても感謝していますよ。

杉田:セブン-イレブン様も新しい店舗になってまだ1ヶ月ほどですが、前を通るといつもたくさんの車が停まっていて、
明らかにお客さんが入っていることが分かります。「みんながしあわせに」という目標を叶えられて本当によかったです。

Q&Aお客様に聞きました

三光商事に依頼した決め手はなんですか?
セブン-イレブンに関わるお仕事をたくさんされていたようで、そのつながりから杉田さんのお父さんを紹介していただきました。
今回の拡張再築で印象に残っていることを教えてください。
やはり立ち退きは相手のあることだから、これくらいの年数がかかりますね。「いつまでに」といった目安を決めたとしても、その通りにはいきません。でも、予想していたよりも早かったなと感じています。
今後のことを教えてください。
お父さんの代からのお付き合いですが、これからも頼りにしております。

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